
W杯アジア2次予選のシリア戦(10月8日)と、フレンドリーマッチのイラン戦(10月13日)に臨む日本代表23名が10月1日、発表された。今回のメンバーで一番のサプライズは、20歳の南野拓実が初の代表入りを果たしたことだ。
C大阪で頭角を現した南野は、U-18やU-19の年代別日本代表に選出されてきたものの、今年1月にオーストリアのザルツブルクへ移籍したため、実際にプレーを見たファンは、地元大阪を除けばそう多くはないかもしれない。
南野は昨年12月、五輪チームの母体であるU-21日本代表に19歳の“飛び級”で選出されたが、海外移籍でその後の招集はなかなか実現しなかった。というのも、ヨーロッパのクラブは、シーズン中にFIFAの定めた国際Aマッチデー(W杯本大会や予選、フル代表の大陸選手権)以外、選手を代表チームに“貸し出す”義務はないからだ。
幸いなことに、リオ五輪最終予選は来年1月にカタールで集中開催される。そして、ヨーロッパはイングランドを除いて1月はウインターブレイク(冬の中断期間)だ。9月には日本サッカー協会の霜田正浩技術委員長がザルツブルクに交渉へ赴き、来年1月の招集には前向きな返事をもらっている。
ハリルホジッチ監督は、1日の会見で南野を絶賛した。
「新しい選手で初めて一緒にプレーする。非常に面白い、現代サッカーに欠かせない選手。一番の動きはボールのないところから点を取る、味方に点を取らせる動きをしている。数年後には日本にとって効果的な選手になる」
南野の潜在能力は、ハリルホジッチ監督だけでなく、手倉森誠コーチ(兼U-22日本代表監督)も期待しているはず。リオ五輪予選では攻撃陣の主力と考えているかもしれない。このため、今回の機会を利用してフル代表の練習に参加させ、現在のパフォーマンスをチェックする考えではないか。フル代表初召集は、南野が世代交代で3年後、主力になるかどうかの“中間テスト”といった意味合いが強い。
(サッカージャーナリスト・六川亨)