「ゆっくり歩き」と「速歩き」を3分間交互に行うインターバル速歩は、体力向上や熱中症予防に効果がある
「ゆっくり歩き」と「速歩き」を3分間交互に行うインターバル速歩は、体力向上や熱中症予防に効果がある

 ダイエットや健康維持のため、簡単で効果的だと人気のウォーキング。関連本も多く出版され、すでにこの歩く健康法を実践している人も多いだろう。

 しかし一方で、1日1万歩を目標とする「普通歩き」では筋肉量がほとんど増えないため、体力アップにつながらないという研究結果が出ているのをご存知だろうか。

「家で寝転がってテレビを見ているのとほぼ同じです」

 そう説明するのは、信州大学大学院でスポーツ医科学を研究している能勢博教授だ。能勢教授は著書『「寝たきり」が嫌ならこのウォーキングに変えなさい』(朝日新聞出版)の中で、従来のウォーキングスタイルを少し変えるだけで、更に効率よく体力がつく方法を紹介している。その名も「インターバル速歩」だ。

 そもそも体力を向上させるには、その人にとっての「ややきつい運動」が不可欠だという。「ややきつい運動」というのは、2~3分間続けると、もうダメだと感じる運動の60~70%くらいの強さのこと。それくらいの強さで運動すると、体がストレスを感じて様々なホルモンを分泌する。それに対してストレスに負けない体を作ろうと生体反応を起こすことで、筋力や運動エネルギーを獲得するために使う最大酸素摂取量が向上するというのだ。しかし、「普通歩き」のような40%程度の強さの運動では、長時間歩いてもそのような反応は起こらず、結果的に体力の向上も見込めない。

 能勢教授が紹介するインターバル速歩は、ゆっくり歩きと速歩きを3分間交互に行い、それを1日30分、週4回を目標に行うもの。長野県松本市を中心とした約6000人以上の中高年を対象に、このインターバル速歩を実施。そのデータを分析して、効果を実証してきたという。

「インターバル速歩をすると、10歳若返った体力が得られ、それに伴って高血圧や高血糖、肥満などの生活習慣病の症状が20%改善します。また、足腰の痛みやうつ病などにも改善が見られることが科学的に実証できました」(能勢教授)

 さらに、インターバル速歩の効果をもっと高める「魔法のドリンク」があるという。それがコップ1杯の牛乳。インターバル速歩後30分以内に摂取することで、運動で傷んだ筋肉の修復機能が高まり、結果的に筋肉量が増えるというメカニズムだ。インターバル速歩後の牛乳は体内の血液量を増やし、皮膚の血管を開きやすくして汗のかきやすい体を作るため、夏の「熱中症予防」にも非常に有効だと考えられている。

 せっかくウォーキングするのであれば、その努力に見合った効果を得られるほうが「やりがい」も感じられるはず。この新しいウォーキング法「インターバル速歩」にチャレンジして、将来「寝たきり」にならない体力を今からしっかりつけておきたい。