この記事の写真をすべて見る

 徳島県出身の主婦兼漫画家の東條さちこ氏が世界一周のひとり旅に出発し、世界各地でまき起こった珍道中をまとめた『主婦を休んで旅に出た よくばり世界一周!』を出版。今回はその中からインドの世界遺産タージ・マハルを訪れて“裏タージ”なるスポットをレポートしてくれました。

* * *
 2012年に約半年間、夫に小学生の娘の世話は任せ、漫画の仕事も半年分必死に片づけて、世界一周、一人旅に出ました。一番初めに訪れたのはインド。なぜなら一生に一度は見たかった超有名な世界遺産、タージ・マハルがあるからです。しかしさすがは世界屈指の文化遺産。その入り口で目にしたものは……今まで見たこともないほどの大行列……だったのです。列車内で仲良くなったフランス人旅行者のパトリックさんが聞いてくれたところによると、入場までに5時間かかるそうで……。

 その時、季節は5月。40度以上の炎天下、5時間以上待つのは……無理!! あんなに見たかったタージ・マハルだけど諦めるのに2秒かかりませんでした。命は大事!! しかも夜には夜行列車でバラナシへ旅立つ私にはこの日しか時間がなかったのです。ほんとガッカリ、アーグラまでわざわざ足を運んで見れないなんて……。そう落ち込んでいると、インド通でもあるパトリックさんが「裏タージを見に行こう」と誘ってくれたのです。何でも裏タージは、知る人ぞ知る夕陽スポットというじゃありませんか。もちろんこんなありがたいお誘い、乗らない訳はないでしょう。

 どうも裏タージまではオートリキシャ(小型の三輪タクシー)で30分ほどの距離だそうで、そこまでの道中には古いお城があったりミニタージという、タージ・マハルの小さい版があったりして見所も点在。中でもミニタージは、さすがタージ・マハルのミニ版、細工がすごく精巧で、モザイクの模様も美しい。しかも本家と違って入場料はタダなのです! 入場していないからわかりませんが、本家タージ・マハルもこういう美しいタイルでできてるんでしょうね、たぶん……。またミニタージは本家と違って閑散としていて静かな雰囲気。美しい細工も思う存分鑑賞できますよ!

 そうやって近辺を巡りながら、裏タージへ。裏タージとはヤムナー川を隔ててタージ・マハルの裏側が見られるスポットだったのです。結構有名なスポットらしく、ラクダを連れてるおじさんやオートリキシャがたくさん停まっていました。私が訪れた時はすでに結構な人が陽が沈む時間に合わせて集まってきていて、みんなでその瞬間を待ちます。太陽が沈むほんの少しの時間だけ、タージは夕陽を受けて黄金色に輝きます。

 これが世にも美しいという裏タージ・マハル。写真をよ~く見るとたくさんの人がギッシリいるのがわかりますね。せっかくの黄金のタージ・マハルの瞬間に、中に入っててどうするよ、中に! そう思ったら、景色の美しさのみならず、入場が叶わなかった溜飲も下がって一石二鳥というものでした。