任期切れを控える議員は、総裁は選挙に強いことが最も大事だという意識になるので、選挙に弱そうな岸田文雄政調会長は不利で、むしろ、地方で人気の石破茂元幹事長のほうが有利だ。そうなれば、安倍総理としては、大嫌いな石破氏に勝てる候補として、自ら乗り出さざるを得ないとの判断になるかもしれない。
一方、2年延期のプランCは最悪だ。来年10月まで有利な材料がなく、内閣支持率が上がらないまま総裁選なら、選挙に怯える議員が石破氏支持という展開になる。
そこで延期1年が至上命令になるが、そこには難題がある。来夏の世界陸上・世界水泳選手権とバッティングするからだ。そこで思い出すのが、東京五輪誘致の際に、日本オリンピック委員会の竹田恒和会長(当時)が、国際陸上競技連盟前会長関係者に賄賂を贈ったという疑惑だ。国際競技団体幹部に贈賄まがいの行為で1年延期を認めさせる。そんな疑念が頭に浮かぶ。
誘致、そして延期にも賄賂なら、腐った東京五輪だが、開会にあたっての安倍総理の言葉には美辞麗句が並ぶだろう。しかも、コロナの混乱に乗じて、福島復興未達の事実から世界の目をそらすため、五輪のスローガンは、「福島復興五輪」から「コロナ克服五輪」にすり替えられる。そんなシミュレーションまでする官邸官僚たちの姿が目に浮かぶ。
※週刊朝日 2020年4月3日号