世界を脅かしている新型コロナウイルスは、現在東京オリンピック予選が行われていたビーチバレーボール界にも大きな打撃を与えている。
1996年アトランタオリンピックで正式競技となって以来、観戦チケットの人気が高いといわれてきたビーチバレーボール。東京オリンピックでは、開催国枠が男女1組ずつに与えられる。延期が発表される前の時点では、開催国枠は「FIVBワールドツアー」などに出場しチームで獲得した合計ポイントの上位6チームが出場できる「2020東京オリンピック代表決定戦」(以下・代表決定戦)で決まるとされていた。そのため、オリンピック出場を狙うチームは、世界各地で開催される「FIVBワールドツアー」を転戦しポイントを稼がなければならなかった。
オリンピック出場条件の基準となるランキングにおいてギリギリのラインにいる坂口佳穗(マイナビ/KBSC)は、「私たちのチームはポイントを獲得していく必要があるので、大会がなくなってしまうとポイント争いにも支障が出る。オリンピックの出場規定も変わるかもしれないし、先が読めない。とても心配だけれど、いつかは終息すると信じて毎日練習に取り組むしかない」と不安を隠せない心境をのぞかせる。
3月に入ると国際的なスポーツイベントが軒並み、中止や延期を発表。ビーチバレーボールの国際大会を司るFIVBは、3月上旬の「FIVBワールドツアーグアム1-star大会」、「ランカウイ島1-star大会」は予定どおり開催した。しかし、「ランカウイ島1-star大会」最終日となる15日朝、情勢は一変。FIVBは3月下旬に予定されていたオーストラリア・ゴールドコースト、メキシコ・カンクンでのワールドツアーを延期することを突如発表した。
同日には15日以降にオーストラリアへ入国者した外国人は14日間隔離するという発令も飛び出し、マレーシアからオーストラリアへ移動予定だった選手たちは、大慌てで予定変更を強いられたのだ。