橋下徹大阪市長率いる地域政党「大阪維新の会」。彼らが運営する「維新政治塾」はほかの政治塾とは異なり、その「政治家養成プログラム」の徹底ぶりは特筆すべきだという。

「社会保障制度」を鈴木亘・学習院大数授が、「外交・防衛」を北岡伸一・政策研究大学院大教授が担当するなど、"橋下ブレーン"たちが講師陣。彼らの講義の後にはリポート提出が待っている。800字詰めの原稿用紙に、講義の感想や意見を手書きで書く。制限時間は60分でパソコンや携帯はおろか、辞書の持ち込みも禁止。文字を埋めるだけでも至難の業だ。

「講義前に講師の本を数冊読んで臨んでいる。事前に勉強しておかないと60分ではとても書けない」(受講生の会社員)

 リポートは「論理性」「知識教養」「政策提言」「問題意識」「理解力」の5項目の観点で、チューター2人が採点。項目ごとに10点満点で採点し、計100点満点で点数化される。数値化の徹底ぶりは、学力テストの点数を学校別に公表しようとする橋下氏らしい。リポートを書き上げた後は、班の中でさらに20人ずつの小グループに分かれ討論。各自1分程度でプレゼンを行い、意見交換を行う。これで4時間半に及ぶメニューが終了する。

「受講生からお金をもらって、候補者を集めるという維新塾そのものが、新しいビジネスモデルです。橋下さん、松井(一郎・大阪府知事)さんら維新の人たちは政治家というより、事業で儲けようというナニワの商人という感じ。政治家らしくないところが新鮮で、若者にウケているのではないか」

 自身も「経済政策、税制」の講師を担当する高橋洋一・嘉悦大教授はこう評している。

※週刊朝日 2012年6月1日号