野球で最も守備力が重視されるポジションを一つ選ぶとすれば、やはり捕手になるだろう。年々投手が投げるボールのスピードはアップし、変化球の種類も多彩になっている。プロとなると、あらゆるタイプの投手のボールをキャッチするだけでも大変である。最近では際どいコースのボールをいかにストライクにできるかという“フレーミング”の技術について言及されることも増えている。
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捕球とともに重視されるのはスローイングだ。地肩の強さはもちろんだが、盗塁を阻止するためには持ち替えの速さやコントロールも重要になってくる。キャッチしてからセカンドまでの時間を計測した“ポップタイム”も一般的になり、一流の捕手となると実戦でもコンスタントに2.0秒を切るタイムをマークし、球界最高の強肩と名高い甲斐拓也(ソフトバンク)はしばしば1.8秒前後も記録している。また「抑えたら投手の手柄、打たれたら捕手の責任」という言葉があるように、配球についても多くを要求される。
90年代以降は古田敦也(ヤクルト)、阿部慎之助(巨人)に代表される高い守備力と打力を備えた捕手が増えたこともあって、捕手も打てないと高く評価されない時代になってきている。先述した甲斐も最初は守備の人だったが、昨年は二桁ホームランを記録するなど打撃も着実にレベルアップしている。しかし決して打力はなくとも、突出した守備力を持つ捕手がチームにとってプラスになることは間違いない。そこで今回は、打撃は目立たなくても守備が光る捕手を過去まで遡って紹介してみたいと思う。
現役選手で守備型の捕手の代表格と言えばやはり小林誠司(巨人)になるだろう。突出しているのはそのスローイングだ。捕球してからリリースまでが素早く、なおかつ速いボールをセカンドベースの右に正確に投げることができている。ここまで通算6シーズンで4割以上の盗塁阻止率を3度記録しており、2016年からは4年連続でリーグトップの数字をマークしている。2016年にはミットが動くことに対してマイコラス(現カージナルス)が激怒したシーンもあったが、ここ数年は捕球技術も確実に進歩している。配球面では批判されることも少なくないが、基本的な守備力の高さは現役選手でも屈指の存在と言えるだろう。