4月7日の緊急事態宣言以降、テレビや街角で「東京都知事の小池百合子です」で始まるCMが頻繁に流れた。都民ファーストの会の初期メンバー3人の一人で、その後、小池氏の政治姿勢に違和感を覚え離党した上田令子都議がこの現象についてこう語る。
「テレビCM、YouTube動画、都バスや地下鉄の広告などあらゆる場所で小池さんの名前と顔が目に入りました。7月5日投開票の都知事選間近だというのに、まるで公費を使った選挙運動と都民に誤解されても当然です」
都広報課によると4月9日から5月6日の間、新型コロナ対策の情報発信経費として9億円の予算が組まれた。うちテレビCMは4.9億円。小池氏が登場する15秒のCMは5種類あり、民放6局で4月9日から15日までの1週間で約600本放映された。
「MXテレビが一番多く、約170本流れました。小池知事が出るCMは15日までで終了し、ヒカキン、はじめしゃちょーら人気ユーチューバーに切り替えています」(都広報課の担当課長)
週刊誌などで「血税9億円」などと騒がれたからではないかと質問すると、
「都民の皆さんにお願いするのに一番適切なのが小池知事ということ。発信力がありますから。ユーチューバーへの切り替えは当初から予定されていて、以前から準備していました」(同)
怪しい“露出”はまだある。都は7日から軽症、無症状の陽性患者を都が借り上げた民間のホテルへ移送し始めた。患者がホテルに到着すると、小池知事の直筆のメッセージが書かれた手紙を渡される。
「23日までに累計343人の軽症者がホテルに入りましたが、皆さんにお渡ししています。一日も早い回復をお祈りしますという趣旨の内容です」(都福祉保健局広報課の担当者)
前出の上田都議はあきれながらこう話す。
「小池氏個人からのメッセージであることが強調されていますが、“東京都からのお知らせ”で十分ではないでしょうか」
上田都議は14日、都議会のコロナ予算特別委への出席を却下された。
「都民の命がかかる今、都知事としての責任を追及したかった。安倍首相のコロナ対策のダメぶりを見て『小池さんの方がいいや』となり、彼女が日本初の女性総理を目指すようなことになれば、安倍さんよりももっと独裁的な体制になりかねません」
(本誌・上田耕司)
※週刊朝日 2020年5月8-15日号