![春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。新刊書籍『春風亭一之輔のおもしろ落語入門 おかわり!』(小学館)が絶賛発売中!](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/6/8/412mw/img_688878d835dc3da60ef7505f42c7dab729320.jpg)
![イラスト/もりいくすお](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/a/a/840mw/img_aad3302856ba4f1af5c3c075fef0b9d7264588.jpg)
落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「YouTube」。新型コロナの影響で寄席が休席となる中、斬新な試みとして話題になった10夜連続のYouTubeでの落語生配信についてつづります。
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前回、告知したようにYouTubeで『春風亭一之輔チャンネル』を立ち上げ、4月21日から30日まで毎日落語の生配信をしてみました。その期間、私は上野鈴本演芸場の夜の部のトリだったのですがコロナの影響で寄席は休業。喋るところもないので「じゃ、やったれ!」と勢いで始めてみて、4月25日現在チャンネル登録者数3万2千人。毎日生配信で同時に1万5千近くの人が観てるらしい。鈴本演芸場のキャパシティーが300だから、通常時の50倍が観てることになります。日本全国、いや世界中の落語ファンが、いや落語に馴染みがない人も観ているなんて、これはもう物凄く画期的なことっ!
無料配信です。せっかくだから「落語を聴いたことない人に、普段寄席に聴きにいけない地方の人にも気軽に聴いてもらいたい」「そしてこの事態が収束したのちに是非寄席に足をお運び頂きたい。演芸にお金を落としてもらいたい」との崇高な志のもと、間口を広げるために今はあえてお金を頂かないことに決めたのです。生で聴けない人のためにアーカイブも残してみたのです。全ては「落語を、寄席を、一之輔を一人でも多くの方に知ってもらいたい!」という熱い思いの結晶なのですよ!
無料のせいか、初日の視聴数が今現在約11万回。鈴本演芸場の木戸銭が3千円です。えーと、単純に計算してみてもいいですか? 11万人×3千円だから……3億3千万円!? まじか!! おい! まぁ、有料コンテンツにしたらそんなに聴くわけないので完全に絵に描いた餅ですが、計算後の心の揺れようで自分の小ささがよーくわかりました。
でも嬉しいのはこの配信を聴いた方から「なぜ課金しないのか!」「このクオリティーでお金を取らないのはおかしい!」「どーしても入場料を払いたい!」というご意見が寄せられていること。私のホームページには「お前が受け取らないと言っても俺は払う!」という内容の高圧的なメールを直接送りつけてきて、落語協会気付で御祝儀を現金書留で送付してきた猛者もいました。ファンの鑑だね。