新型コロナウイルスの影響で、働きかたを見直した人も多いはず。企業と副業希望者のマッチングサービスを手掛ける「Another works」によると、同社サービスに登録する副業希望者は3月からの2カ月で約4千人も増えたという。背景を同社代表取締役の大林尚朝さんに話をうかがった。
同社のサービスは「即戦力人材を求める企業」と「スキルの提供者」で成り立っている。そもそも意識の高い者同士のマッチングの場だったが、コロナ禍で、大手メーカーなどこれまで登録のなかった企業に勤務する正社員の登録も増えたという。「在宅勤務で増えた可処分時間を活用したい」というのが理由だが、同時に、求人を希望する企業側からの引き合いも増えている。
「新型コロナの影響は確実にあります。副業はブーム期に入ったといえるでしょう」
■今、企業側がほしい人材とは
採用する企業側はどのような人材を求めているのだろう。
「営業職などビジネスサイドへのニーズが高いです。ベンチャー企業を中心に、人件費を固定費ではなく変動費と捉える流れはこれまでもありましたが、今春以降、それが強まっています。営業であれば、フェーズごとに飛び込みが得意な人材、ある業界に人脈を持っている人材、というように、最適なスキルを持つ人材に業務を委託するケースは増えています」
珍しいところでは、対面営業の際にピンポイントで同行してくれる営業人材がいないか、という相談。
「その人はエンジニアで、営業に苦手意識がある。だから、客先で“営業トーク”をしてくれる人が付き添ってくれるだけで安心できるというのです。こういうニーズは、想定外でした」
営業職以外にも、特化した知識や経験へのニーズは高い。
「例えば、人事。転職サイトなど、多数展開されている採用ツールをどう使いこなせばよいのかがわからないので、運用経験のある人材の助言がほしい、という要望がありました。ほかにも、リスティングやSNSの広告運用の知見があるマーケターを求める企業は多いです。直近では、コロナ禍によりマーケティングを行いにくい状況が続いているので、戦略そのものを立て直せる人材へのニーズも高まっています」