ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、手越祐也さんを取り上げる。
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連日コロナの話題ばかりが席巻し、ネットニュースはとにかくビューワー数を稼げそうな芸能ネタに飢えてしょうがないご様子。仮に絶賛不倫中の人がいたとしても、それこそ今はステイホームを徹底しているでしょうし、クスリに手を出すにしたって、それを目撃される場所が稼働していないわけですから、もしかするとこのコロナ禍でいちばん歯痒い想いをしているのはネットニュースの芸能担当かもしれません。
そんな中、「俺の出番か」と言わんばかりに現れたのがNEWSの手越祐也さんです。法を犯さないラインで、この現状下で出来得る限りの「お咎め案件」を提供してくれたテゴにゃんに、各紙から「よっ! 待ってました!」と歓喜の声が上がっています。様々な尾ひれが付いてはいますが、揺るぎない事実は「緊急事態宣言発令中に手越が六本木に夜間外出をした」ということだけ。無論それによって深刻な事態が引き起こされる危険性もあったとは言え、このタイムリーでシンプルな「ダメなこと」「怒られること」を、これほどまでにキャッチーに遂行してしまえる人は、今の日本の芸能界で彼以外にいないでしょう。まさにベストキャスティングです。彼でなければ「ジャニーズ堪忍袋の緒が切れた!」とか「手越ヤケクソ六本木計画」とか「手越ホストクラブに体験入店!?」などといった見出しは成立しません。長年にわたって築き上げられてきた共通認識があってこそ。実に尊い。また、芸能界における「プレイボーイ」の象徴が、石田純一さんから手越祐也へと世代交代したことも、今回のコロナ禍を象徴する出来事として記憶に留め置きたく思います。