竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社
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店舗に貼っているレジ袋有料化のポスター。環境問題を考える、一つのきっかけにしていただければと思います
店舗に貼っているレジ袋有料化のポスター。環境問題を考える、一つのきっかけにしていただければと思います

「コンビニ百里の道をゆく」は、50歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

【写真】店舗に貼っているレジ袋有料化のポスター

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 いよいよ7月1日からレジ袋の有料義務化が始まります。ローソンではレジ袋を1枚3円に設定。環境にやさしいバイオマス素材を配合した袋を使います。これを契機にコンビニでもエコバッグなどをご活用いただければと思います。

 深刻な地球環境問題を受け、環境省は2030年までにレジ袋や使い捨てプラスチックゴミの排出量を25%削減すると打ち出しました。ローソンも、30年にはプラスチックを17年対比で30%削減することを目標にしています。

 昨年からアイスコーヒーSサイズのカップを紙製に切り替え、ふたに飲み口をつけてストロー要らずに。これだけでもプラスチックを累計約470トン削減することができ、お客様のご理解を得ながら地球環境にも貢献できたかなと思っていました。

 ところが今年2月、インターナショナルスクールに通っているという女子生徒からジュニア向け雑誌の取材を受けたとき、その真っ直ぐな質問に正直たじろぎました。

「ローソンはなぜプラスチックにあふれているのか」と聞かれ、先述のプラカップ削減の取り組みを(自信をもって……)伝えました。ところが、まだふたはプラスチック、これでは飲むことができないとお叱りの指摘。プラ削減の定量目標は大切ですが、プラスチックのふたがついた紙カップを見ても私は違和感を覚えなかった。ストレートに「飲めません」と言われて初めて、自分の感覚が間違っていたのだとハッとしました。

 年を重ねるにつれて、目の前の物事を素直に受け止めることができなくなります。本気で世の中の流れを変えるには、数値目標を達成して終わりではなく、生活の気づきを社会に落とし込んでいくことが不可欠だとその女子生徒から学びました。

 レジ袋有料化を契機に、お客様と共に環境問題への機運を高めたいと考えています。

AERA 2020年7月6日号