AERA 2020年7月20日号より
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 緊急事態宣言下での約2カ月の自粛生活。4割の日本人が体重増加を経験したといわれる。だが、その背景にあるのは単純な食べすぎや運動不足ではない。漠然とした不安感やストレスが招く脳の快楽中枢の暴走は、意志の力では止められない。必要なのは、脳をコントロールする正しい知識と方法だ。AERA 2020年7月20日号は「脳科学ダイエット」を特集。

【好きなものから始めてみよう!「脳に効く食べ物&習慣」はこちら】

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 52.5キロ。体重計に表示された数字を見て、販売会社の事務職の女性(38)はため息をついた。ここ15年ほど体重は40キロ代後半をキープ、どんなに太っても50キロを超えることはなかった。それが今年4月下旬に50キロを突破、そのまま過去最高値を更新し続けている。

 会社は3月下旬からテレワークとなり、現在も一部継続中だ。自宅にいる時間が長いため、口さびしくなるとつい買い置きの菓子に手が伸びる。以前は週に1、2日はジムに通っていたが、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに退会。出勤しない日は近所のスーパーやコンビニに行くぐらいしか出歩かない。

「自分でも典型的な“コロナ太り”だと思います。早くなんとかしなければと思いながらも、積極的に運動する気にもなれず、体重の増加を止められません」

 6月22日、スポーツ庁の鈴木大地長官は、新型コロナによる外出自粛の影響で成人の約4割が体重が増えたという、オンラインフィットネス会社サーティフィットの調査結果を示した。5月12、13日に20~40代の全国の男女600人にインターネットで実施したところ、体重が1~3キロ増えた人が女性32%、男性21.7%、5キロ以上増えた人は男女共に4%いたという。

 一般的に「コロナ太り」「在宅太り」は、自粛による運動不足と捉えられがちだ。だが、イェール大学などで先端脳科学研究に携わった精神科医の久賀谷亮医師はこう語る。

「肥満の原因は、運動不足よりもストレスによる影響のほうがはるかに大きい。先が見えず、外出が制限され、普段と同じような生活ができないなかで不安を抱え、食べ物に対する依存が高まっていると考えられます」

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