
創刊90周年を迎えた「週刊朝日」。これまで世間を賑わす大きな出来事が起きると、雑誌の顔(=表紙)はガラリと表情を変えてきた。喜び、驚き、悲しみ。その顔から、世情の移ろいを振り返る。
●明仁皇太子ご成婚(1959年4月19日号)
4月10日、明仁皇太子殿下と正田美智子さんが結婚。当時、明仁皇太子は25歳
●東京五輪が開幕(1964年10月23日号)
10月10日から24日まで開催。日本は金16個、銀5個、銅8個のメダルを獲得した
●十勝沖地震(1968年5月31日号)
5月16日、北海道函館市や苫小牧市で震度5の地震が発生。死者・不明者は約50人
●まもなく大阪万博(1970年2月25日号)
3月から9月にかけ、アジア初の万国博覧会が大阪で開催。総入場者数は約6421万人
●よど号ハイジャック(1970年4月17日号)
3月31日、羽田発福岡行きの日本航空351便を赤軍派9人が乗っ取り、平壌行きを要求
●美空ひばり死去(1989年7月7日号)
6月24日、間質性肺炎による呼吸不全で死去。享年52。「悲しい酒」など名曲が数多く残る
●湾岸戦争終結へ(1991年3月1日号)
クウェートへ侵攻したイラクに対し、国連は多国籍軍を出動させ、1月から攻撃を開始
●若貴フィーバー(1991年9月27日号)
9月の秋場所番付は、弟・貴花田が関脇、兄・若花田が前頭3枚目。「若貴」はこの年、流行語大賞の金賞になった
●村山富市首相誕生(1994年7月15日号)
6月29日、首相指名の決戦投票で海部俊樹氏を破り村山氏が首相に。自社さ連立内閣樹立
●「教祖」を起訴(1995年6月16日号)
地下鉄サリン事件で、東京地検が6月6日、オウム真理教の代表、麻原彰晃容疑者を起訴
●米同時多発テロ(2001年9月28日号)
9月11日、ニューヨークの世界貿易センタービルに航空機が激突し、世界を震撼させた
●日韓W杯開催(2002年6月21日号)
5月から6月にかけ、日本と韓国で共同開催。日本は決勝トーナメントに進出し、ベスト16
●小泉旋風起こる(2005年9月23日号)
小泉純一郎首相が郵政民営化を訴えた9月の総選挙で、自民党が296議席を獲得
●未曾有の大震災(2011年3月25日号)
3月11日に起きた東日本大震災は原発事故をも引き起こし、壊滅的被害を出している
記事や写真が、当初予定していたものから変わることを「差し替え」という。表紙をまるごと差し替えるのは、よほど大きなニュースが起きた場合。今回挙げた表紙も、大半がそのケースだ。通常の表紙づくりは、たくさんのスタッフがかかわり、綿密なスケジュールを組んでいる。だから差し替えが決定した瞬間から、スタッフは上を下への慌ただしさとなる。
スタッフの瞬発力とひらめきを結集させ、少し前には想像もしていなかった表紙を作り上げる。ニュースを扱う週刊誌にとって差し替えは不可避で、ある意味、醍醐味。新聞やテレビとは違う、「表紙で報じる」週刊誌の個性を感じていただけたなら、この上ない。
※週刊朝日 2012年2月24日号