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■ 周囲の環境調整も効果的
この佐藤さんの「めげるって命を燃やすこと」という一言は、かっこよすぎてインタビュー中にその場で震えました。
いま、誰もがコロナ禍でイライラしたり、こだわりが強くなったりしがちです。そのせいで、ものごとがうまく進まなくて落ち込むことがあるかもしれません。そんな時、佐藤二朗さんの「他人より劣っていると悩んだ部分も、マイナスばっかりじゃなかったなあ」という言葉を思い出してみてください。
一方、周囲や家族はどのように「イライラしている人」を支えたらいいのでしょうか。心療内科医・明橋大二さんは「本人にガマンさせるより、本人がなるべく心地よくすごせるような環境を整える工夫が必要です」と環境調整の重要性を指摘しています。
環境調整とは、本人を変えるのではなく、環境を変えて本人を支える方法の一つ。ソーシャルワーカーと言われる人たちは環境調整を主たる問題解決の方法に選んでいます。
コロナ禍でイライラすることが多いのですが、佐藤二朗さんがやってきた発想転換や環境調整という考え方を大事に、この期間を乗り越えたいものですね。(文/石井志昂)
<プロフィール>
石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都町田市出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた