この大きい変化のボールが一つあることで他の球種にも好影響が出ていることは間違いないだろう。このままの調子でシーズンを乗り切ることができれば、投手タイトルの獲得も見えてくるはずだ。

 セ・リーグの投手ではロドリゲス(中日)が驚きの活躍を見せている。今年で23歳という若さながら、昨年行われたプレミア12にキューバ代表として出場。その後中日が育成選手として獲得したが、二軍で結果を残して8月に支配下登録を勝ち取ると、一軍でもここまで3試合に先発して2勝0敗、防御率1.40と見事な活躍を見せている。変化球の時に少し腕の振りが変わるという課題はあるものの、常時150キロを超えるストレートで押すパワーピッチングは魅力十分だ。この勢いが続くようであれば、後半戦はローテーションの中心として期待できるだろう。

 シーズン前に想定していた通りに戦えるケースはまずなく、どの球団もあらゆる誤算の中でやりくりすることになるが、ここで挙げた選手の活躍は想定外だったことだろう。後半戦でも彼らに続くような選手が更に現れることを期待したい。(文・西尾典文)

●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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