巨人の小林誠司=昨年9月16日(C)朝日新聞社
巨人の小林誠司=昨年9月16日(C)朝日新聞社
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 セ・リーグ首位を独走する巨人で、貢献度が高いのが「豪華すぎる捕手陣」だ。大城卓三、炭谷銀仁朗、岸田行倫の3人体制で、投手によってバッテリーを代えている。今季無傷で9連勝と絶好調のエース・菅野智之が登板時は東海大の後輩の大城、高卒2年目で7勝をマークしている戸郷翔征はベテランの炭谷がリードする。「次世代の正捕手」と評される岸田は強肩が武器。「左キラー」として勝負強い打撃を発揮し、1軍に定着している。

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 他球団のスコアラーは、こう評する。

「先発ローテーションで計算できるのは菅野と戸郷だけ。苦しい台所事情にかかわらず、白星を積み重ねているのは捕手の力が大きい。今年の巨人は同じ投手でも登板ごとにバッテリーを組む捕手を替えるパターンが多い。捕手が違うと、配球がガラッと変わって攻略にてこずる。大城、炭谷、岸田は他球団にいったらレギュラー捕手になれる力を持っている。現代野球は捕手のレギュラーを固定せずに複数で回しているチームが多いが、巨人のこの3人はクオリティーが非常に高い」

 この状況で、左尺骨の骨折から1軍復帰を目指す小林誠司の立場が安泰ではなくなっている。小林は開幕3戦目の6月21日の阪神戦(東京ドーム)で死球を受けて骨折が判明。登録を抹消されてリハビリを続けていた。今月26日のイースタン・ロッテ戦(ジャイアンツ球場)で戦線離脱後初めて捕手で実戦復帰。1軍昇格に向けて準備を整えている。

 スポーツ紙デスクは、こう分析する。

「球界屈指の強肩を誇る小林は、同学年の菅野や、昨年まで在籍していた山口俊(現大リーグ・ブルージェイズ)に絶大な信頼を寄せられ、2人が投げる時はマスクをかぶっていました。ただ、今年は菅野が大城と組んで結果を出している。簡単には小林に代えられないでしょう。左腕に強い岸田の打撃も捨てがたい。今の1軍でどの捕手と替えるかとなると非常に難しい選択です」

 2016年から4年連続リーグトップの盗塁阻止率をマークし、侍ジャパンにも選出されている小林だが、首脳陣は「もっとできる」という思いが強いだろう。原監督が3度目の監督に就任した昨年は91試合出場と4年ぶりに100試合に届かなかった。優勝争いが佳境に入る後半戦に向けて必要不可欠な存在であることは間違いないが、1軍で起用され続けるためには首脳陣の信頼を勝ち取らなければいけない。(梅宮昌宗)

※週刊朝日オンライン限定記事