“番長”清原の次は、現役選手の中で最も“番長感”がある日本ハム・中田翔にご登場願おう。
2016年7月13日のオリックス戦。0対0の6回、大城滉二の右飛を岡大海が捕球失敗し、後逸(記録は三塁打)。ショート・中島卓也の悪送球で二塁走者に続いて大城も生還し、2点を先制された。7回の3打席目、この日2打数無安打と当たっていなかった岡は代打を送られ、無念の思いでベンチに下がった。
だが、0対2の8回2死満塁、中田が守護神・平野佳寿から右中間に走者一掃の3点二塁打。鮮やかな逆転劇に感極まった岡は、目に一杯涙を溜めながらベンチの前に立ち、最終回にファースト・中田がウイニングボールを手にするまで嗚咽しながら見届けていた。
それから3カ月後の10月26日、広島との日本シリーズ第4戦でも、中田は男気の一打を見せる。
0対0の4回、エルドレッドの高々と上がった飛球をライト・近藤健介が落球し、1点を先制された。
この日敗れれば1勝3敗と王手をかけられてしまう。そんな重苦しいムードのなか、中田は6回に左越え同点ソロを放ち、近藤のミスを帳消しにする。
レアードの2ランで3対1と逆転した直後の9回には、代打・小窪哲也が右翼線に放った長打性の飛球を、岡がフェンス激突を恐れず、横っ飛びに倒れ込みながらも執念のキャッチ。「(6回の飛球は)僕が行かなければいかないところ」の後悔の気持ちが生んだスーパープレーだった。
試合後、中田は「野手のミスはみんなのミス。みんなで取り返せばいい」とチームの和を強調。この一戦を境にシリーズの流れを掴んだ日本ハムは第5戦、6戦も連勝し、逆転日本一に輝いた。
中田の男気は、国際試合でも発揮された。15年11月12日のプレミア12のドミニカ戦、筒香嘉智のミスをきっかけに同点に追いつかれた直後の8回に、左翼線に決勝の2点タイムリー二塁打。「僕もふだんエラーして皆さんにカバーしてもらっている。筒香が(左飛の)目測を誤って点を取られたときに、何とかしてあげたいと思った」と語っている。