──前は小さかったと?

 前はバレなきゃいいというのが正直ありました。

──前回はウソで、今回は正直。それはどうして?

 やはりウソはよくないと。

 押尾被告はたびたび真剣な表情を浮かべながら、

「私は見殺しにするような人間ではありません」

 と熱心に訴え続けたが、女性裁判員とのこんなやりとりでボロが出た。

──大事な友達だと言っていた田中さんを残してまで、あなたが失いたくなかったものとは?

 クスリの発覚です。

──クスリの発覚によって失うものとは?

 法に触れることで、家族、仕事、いろいろ可愛がってくれた方々とか。

──それを失いたくないから放置したと?

 何かを失いたくないとかじゃなくて、とにかくクスリの発覚を恐れた。クスリを抜きたかったんです。

 さらに「大切な友達だった」と言うわりに、自身の無罪主張のために田中さんをめっぽうこき下ろした。

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