「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
【写真】ローソン代表取締役社長COO就任が発表されたときの竹増氏
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協業パートナーであるクックパッドのJapan CEOに29歳の福崎康平さんが就任され、話題になっています。まさに「若手」ですが、今や10代の起業家もいる時代です。20代、30代の社長も珍しくなくなってきました。
私自身は2016年に46歳でローソンの代表取締役社長COOに就任しました。コンビニ業界の中では若い社長と言われることもありますが、自分としては年齢を意識したことはあまりありません。
ビジネスに限らず、日々の生活でも経験がものをいうときもあれば、邪魔になるときもあります。会社を背負い、仲間とともに価値を生み出す。社会に貢献するための確固たるビジョンを持ち、目標に向かって突き進んでいく。これは年齢に関係なく、すべての社長が持つ思いではないでしょうか。
若ければ若いほど30年後、50年後の未来に、よりリアリティーを持つことができるということはあるかもしれません。たとえば、SDGsやその先の2050年の目標を意識したとき、自分が50代なのか80代なのかでは将来の描き方も異なるかもしれません。ですが、たとえその未来に自分が存在しないとしても、未来の世界に思いを馳せて、次の世代のために今やるべきことをやる。年齢は数字にしかすぎません。
社長として、描いたビジョンを実現するために、日々決断していく。企業理念を常に反芻しながら、5年後、10年後を見据えた選択をする。時に迷うこともありますが、そんな時は「人として何が正しいか、何をなすべきか」を自問しています。新型コロナウイルスなど、予想しなかった問題に頭を悩ませることもあります。ですが、思い通りにいかない環境のなかでも、企業理念を軸に社会に貢献すること。いくつになっても、この思いは持ち続けていきたいと考えています。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2020年9月28日号