自民、公明両党は14日、与党税制協議会を開き、富裕層を対象に所得税と相続税の課税を強化することで正式合意した。金銭面以外でも頭が痛いのが、相続の問題。たとえば、母親の介護を条件に財産を譲り受けた相続人が約束を果たさないこともある。

 遺言を残す人は、遺言で利益を受ける人に一定の義務を課すことができる。これを「負担付遺贈」という。

 遺言によって利益を受けた人が負担すべき義務を履行しないときは、ほかの相続人が、一定の期間を定めて負担履行の催告をすることができる。そしてその期間中に履行がなければ、家庭裁判所に対して、この部分に関する遺言の取り消しを求められる。『親に気持ちよく遺言書を準備してもらう本』(日本実業出版社)の著者で、行政書士の竹内豊さんが語る。

「遺言の取り消しが認められた場合、このケースでは母の面倒を誰がみるのかを第一に考え、相続人全員で遺産の分け方を協議することになります」

 今後訪れる超高齢化社会では、残される配偶者への配慮から、負担付遺贈が増えることも考えられる。

「利益を受ける側になった場合、受ける利益に対する負担が重すぎないか、実際に負担を履行できるか、の2点に注意して相続を検討しましょう」(竹内さん)

 負担が重すぎると判断した場合は、それに対応する利益を放棄でき、このケースでは母がその財産を相続することになる。

週刊朝日 2013年1月25日号