竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
9月の連休には、多くの人でにぎわった浅草界隈/9月22日、東京都台東区 (c)朝日新聞社9月の連休には、多くの人でにぎわった浅草界隈/9月22日、東京都台東区 (c)朝日新聞社
「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

【写真】9月の連休には、多くの人でにぎわった浅草界隈

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 ここのところ毎週、浅草を巡回しています。代表的な観光地を定点観測して、コンビニビジネスに大切な人の動きを見るようにしています。TVや新聞、ネットなどを通じても情報は入りますが、自分の足で歩いて、自分の目で見て、人の動きを肌で感じると、本当の街(マチ)の様子がわかる気がします。閑散としていた浅草もGoToトラベルが始まり、活気が戻っています。

 私自身は9月から積極的に全国の加盟店巡回を再開。台風で被害が大きかった鹿児島をはじめ、北海道、新潟、愛媛、兵庫、大阪など、これまではオンラインでしか会えなかった加盟店のみなさんと対面し、各地のお店で現場の声を聞かせていただいています。

 今年度は2月に、本部の重要業績評価指標(KPI)を加盟店利益とすることを打ち出しました。外出自粛やリモートワークでオフィス立地での売り上げの落ち込みなど、コロナの影響は大きいですが、第2四半期の加盟店利益は前年比を上回ることができました。たとえば、セルフレジの活用によるマンアワーの短縮。エアコンをこまめに清掃するなどの省エネに努め、水道光熱費をカット。そして値引きを含めた積極的な売り切りによる廃棄ロスの削減。さらに、近くのお店で短時間で買い物を済ませたいというお客様のニーズに合わせて、日用品や生鮮品を強化。一つひとつの積み重ねで筋肉質な店づくりを目指しています。非常事態のなかでもお店と一緒になって加盟店利益を伸ばすことにチャレンジする。

「ハンマー&ダンス」と言われるように、再び感染が拡大すれば外出自粛となり、感染が落ち着くと人の動きも活発化します。ハンマーの時期には巣ごもり需要を取り込み、ダンスの時期にはコンビニ需要をつかんでいく。一喜一憂する生活は続きそうですが、ニーズの変化を見ながら頑張っていきたいです。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

AERA 2020年10月26日号