たびたび発言が問題になる衆院議員の杉田水脈氏。「慰安婦」についての発言は、国内では擁護する声も聞かれる。しかし、国際社会での動きはどうか。作家の北原みのりさんが解説する。
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杉田水脈議員は、“「慰安婦」問題などない”“「慰安婦」の強制連行は嘘!”と言い続けてのしあがってきた人である。「日本維新の会」「次世代の党」「自民党」と渡り歩きながら一貫して、「慰安婦」たたきは彼女のライフワークだった。
10年近く前だが、杉田水脈氏の仲間である愛国運動にはまる女性を取材した時、「なぜ『慰安婦』問題に関心を持つのか?」と聞くと、「男性がやると女性をいじめているように見えるから、女性がやったほうがいい」と、ほぼ全員がそう答えたのを思い出す。杉田氏自身、『女性だからこそ解決できる慰安婦問題』というタイトルの共著を出しているが、そんな杉田氏を安倍さんは、「僕の代わりに『慰安婦』をつぶしてくれる人」として目をかけたのだろうか。比例中国ブロックの自民党比例単独候補の最上位、とは前総理の寵愛と期待を感じるポジションだ。どんな暴言で性暴力被害者をおとしめても自民党は守ってくれる、なぜなら私は男が言ったらアウトな本音を代わりに言っているだけだから……という意識が、杉田氏の饒舌に拍車をかけているのかもしれない。
さて、そんな杉田議員の「女性はいくらでも嘘をつけますから」発言に振り回されている今日この頃だが、ちょうどこの時期に、「慰安婦」問題はベルリンでも勃発していた。
ベルリン市で最もにぎわいのあるミッテ区の公有地に「平和の少女像」が9月28日に設置された。地元の「コリア協議会」という民間団体による設置だったが、これに対し加藤勝信官房長官が翌日すぐに撤去を要請する考えを記者会見で語り、外遊中の茂木敏充外相がドイツ外相に電話で撤去要請を伝えた。その結果、10月7日にベルリン市ミッテ区は設置団体に少女像撤去を求めたのだ。「ドイツで日本の言い分が通った!」というニュアンスで日本では報じられたのだが……これがなんと13日に、あっけなくひっくりかえったのだった。早いっ!