その場合、参考モデルとなるのが、ジョージ・W・ブッシュ共和党候補(当選後、大統領)と元副大統領のアル・ゴア民主党候補が競った2000年の大統領選だ。投開票日夜に、両候補が獲得した選挙人の数がほぼ拮抗(きっこう)し、フロリダ州の結果が勝敗を決する見通しとなった。機械集計の結果、同州はブッシュ氏がリードしたが、1784票という僅差(きんさ)だったため、ゴア陣営が手動の集計を求めたのに対し、ブッシュ陣営は再集計中止を求めて訴訟を起こす。再集計をするか、しないかという法廷闘争が最終的に連邦最高裁の判断を仰ぐことになり、最高裁の再集計を止める決定によって、ブッシュ氏勝利が確定した。この時、投開票日から35日が過ぎていた。
今回は2000年と異なり、トランプ・共和党陣営が再集計を要請し、バイデン・民主党陣営が阻止するかもしれない。
トランプ氏は、バイデン氏の得票が先行しそうな州に、再集計を要請する可能性がある。これに、バイデン陣営が再集計の中止を求める訴訟を起こし、それが最高裁の判決を仰ぐまでに発展すれば、勝敗の結果がつくのは、やはり1カ月先になるだろう。
そして、最高裁判事9人のバランスは現在、共和党大統領が指名した判事が6人という「スーパーマジョリティー」を確保し、共和党に有利な判決が下されるとみられる。
法廷闘争の一方、2000年は、両陣営が集会を続けた。市民も真っ二つに分かれてデモを繰り返した。2001年1月にブッシュ氏が大統領就任式を迎えたが、ワシントンはそれに抗議するデモ行進にあふれ、警察官3万人が動員されたという。
■投票後も小競り合い
20年の投開票日後は、さらにデモが激化するだろう。すでに、激戦州では「左派による不正があれば、トランプ氏が敗北してしまう」との懸念から、武装した民兵や極右の市民が投票所に現れる可能性が高い。バイデン派市民と対立し、投開票日以降も小競り合いが続くのは間違いない。