世界が注目する米大統領選の結果だが、今年は開票に時間がかかりそうだ。背景には過去最多の郵便投票と再集計要請が関係している。AERA 2020年11月9日号の記事を紹介。
※【米大統領選コロナ対応でも「両極」 トランプとバイデン集会規模や感染拡大の認識に違い】より続く
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無事に投票日を迎えたとしても、全米で混乱は必至だ。平時であれば、中西部のミシガン、ウィスコンシンと東部ペンシルベニアの3激戦州や人口が多い激戦州の南部フロリダ州などで、11月3日の投開票日に、いずれかの候補が大差をつければ、メディアが「当確」を出し、決着がつく。だが、今年は郵便投票の開票に時間がかかり、即日「当確」が出るのはほぼ不可能とされる。
郵便投票の票数はフロリダ大学によると10月29日現在、5200万票超で過去最多だ。しかも、激戦州での郵便投票が多く、集計へのプロセスに時間がかかる。郵便投票は、次のようになる。
各州の選挙管理委員会が投開票日をめざして、指定の場所に運び込む→投開票日、封筒のバーコードなどでダブりがないか、署名が有効か調べる(州によっては、過去の署名と合致するか調べる)→無効なものは、本人に確認の電話をするか、廃棄する→封筒を選挙区ごとに分ける→手か機械で開封する→投票用紙を一枚ずつ広げてスキャナーにかけ集計する、という気が遠くなるようなプロセスだ。
米紙ニューヨーク・タイムズが、激戦州の選挙当局に取材したところ、ミシガン、ペンシルベニア州は、集計を終えるのに「数日」かかると回答。「当確」が出されるのが、即日ではなく週内とされる根拠だ。
■激戦州で再集計もある
「当確」が出た後も大きな問題が残される。トランプ氏が敗北した場合、選挙に「不正」があったとして、敗北を認めない可能性があるためだ。
トランプ氏は9月29日の大統領候補討論会で「集計結果を見るまで、数カ月かかるだろう」と発言。敗北した候補は「当確」の直後、勝者に電話をかけ、敗北宣言をするのが通常だが、トランプ氏は不正を理由に複数の激戦州で再集計を要請する可能性がある。