料理研究家の村上祥子さん(撮影・柴田愛子)
料理研究家の村上祥子さん(撮影・柴田愛子)
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村上さんの自宅のキッチン
村上さんの自宅のキッチン

 料理研究家として50年間活動している村上祥子さん。現在、78歳で福岡の自宅で1人暮らしをしています。キッチンは広くさまざまな設備があるかと思いきや、コンロは一口だけ。そんなシンプルな暮らしぶりと1人分のレシピをまとめて、2018年12月に『頑張らない台所』上梓。いまも売れ続けています。“頑張らない”暮らしの秘訣に迫りました。

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――村上さんの現在の暮らしについて教えてください。

 6年前に夫が亡くなり、今は1人暮らしです。東京の出版社の仕事を中心に、福岡ではシニア向けの料理教室をしています。自宅のキッチンはIHの一口コンロ、鍋とフライパンはそれぞれ大小1つずつと、道具も最小限です。食器も台所の壁にしつらえた二段の棚に収まる分だけです。

 洋服は、年間で30着をフル活用して、着まわします。それでもおしゃれは楽しめるものですよ。ジャケットにスカーフを合わせるだけで洋服の表情は変わって見えますし。以前、『徹子の部屋』に出演したとき、着こなしを黒柳徹子さんに褒められました。

――10年以上前に、住まいを見直すきっかけがあったとか。

 65歳のとき、娘のいた部屋をリビングダイニングキッチンに改装し、寝室とクロゼット、バス、トイレの1LDKだけを生活空間にして、他の部屋は使わないことにしました。1人になってからも同じスペースで快適に暮らしています。

 子どもが独立した後に、改築や移住といった選択もあるでしょうけれど、使わない部屋を作ることで、自宅のミニマイズをされるのもいいかもしれませんね。住み慣れた家やご近所さんとの付き合いはそのまま維持できるうえ、コンパクトに暮らせて必要以上の掃除からも解放されますよ。

――人生の変化に応じて、暮らしも変えていくのですね。逆に変わらないことはありますか?

 1日3度のごはんです。1人暮らしになっても、3食きちんと食べています。でも私が作る1人分の料理って超シンプルなんです。“ラクしておいしい”がモットーです。そこは料理研究家ですから、調理は簡単でもおいしくするコツは心得ています(笑)。レンチンでシチューを作っても煮込んだようにおいしくなります。

 子どものためには多少無理してでも頑張って作りますが、自分のために作るというのはいいかげんになってしまうもの。ましてや高齢になってくるとめんどうになってきます。でも、1人暮らしでもきちんと食べることはしていただきたい。それがちゃんと生きることにつながります。

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自立するためには、頑張らなくていい