コロナ禍での生活困窮者へ支援の期限が迫っている。「命綱」がなくなれば、年明けには路頭に迷う人が増えることが懸念される。AERA 2020年11月16日号から。
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コロナの終息が見えない中、生活支援を行う多くの関係者が口を揃えるのが、今のままでは年明けに多くのホームレスが生まれる心配だ。
コロナ禍における国の生活困窮者への支援策は、(1)家賃を補助する「住居確保給付金」(2)企業の雇用維持を支援する「雇用調整助成金」(3)個人向け緊急小口資金などの「特例貸し付け」──の3本柱。これらは多くの生活困窮者の暮らしをつないできたが、収入や企業の業績が回復しないまま期限を迎える事態が年内にも起こりうるのだ。
■「命綱」の期限が迫る
なかでも住居確保給付金は、生活に困っている人の家賃を補助する生活困窮者の「命綱」となっている。東京23区の場合、単身世帯で毎月5万3700円が支給される。しかし支給期間は最長で9カ月。4月から10月までの利用者は計10万件を超え、4月から支給を受けている人は12月で期限が切れる。期限が切れれば、家賃を払えなくなる人が多数出る。
雇用調整助成金も、コロナに苦しむ事業者とその従業員にとって「生命線」だ。労働者を休ませた企業に日額で上限1万5千円を助成し、4月からの累計支給件数は約160万件(10月23日時点)。だがこれも、12月末で期限が切れる。途切れれば、これまで何とかしのいでいた企業が、休業中の従業員に解雇を通告することも考えられる。
生活困窮者の支援活動を20年近く続けているNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」理事長の大西連(れん)さん(33)はこのままでは多くの人が路頭に迷うことになると指摘し、こう提案する。
「どちらの支援策も支給期限を無期限にするのが望ましい。それができなくても、少なくとも1年、来年3月までは延長するべきです」
支援の期限が切れた時、「最後のセーフティーネット」として生活保護がある。だが実は、コロナ禍にあって生活保護の申請件数は増えていない。厚生労働省によると、7月の生活保護の申請数は全国で1万9650件と前年同月比の11.1%減。3カ月連続の減少となった。