また、借家人が多く入居していて解約交渉などの調整が困難な場合も、この敷地売却制度では権利消滅期日に組合から補償金が支払われ借家権が消滅する仕組みが定められています。

 そのほか、容積率が不足し大きな規模の建物が建てられない場合は、通常の建替えでは利益が得にくいため、デベロッパーが参加しづらいものですが、敷地売却であれば土地活用の幅が広がります。

 地価が高く、敷地の売却益の見込める都市部では特に適用しやすい制度だといえそうです。

 高齢となったマンションの住人のなかには、その地に住み続けることにこだわりのない人もいるでしょう。

 これを機に施設への入所や親族の家での同居を決める人もいるかもしれません。権利を手放したいという人が多いようであれば、マンション敷地売却制度のことも視野に入れておくとよいでしょう。

(文/渡辺圭彦、監修/旭化成不動産レジデンス マンション建替え研究所)

※週刊朝日MOOK「資産価値を守る!マンション管理・修繕・建替え大全2021」から