「オズの魔法使い」の主人公“オズ”の前日談をディズニーが完全映画化した話題作「オズ はじまりの戦い」。この作品で主人公・オズを演じた俳優ジェームズ・フランコに話を聞いた。

 本作では、彼の出世作となった「スパイダーマン」3部作のサム・ライミ監督と再びタッグを組んだ。監督の生み出す世界観の中で、特に共感するのは、人間のキャラクターの描き方なのだそうだ。

「サムの描く世界は、壮大なスケールであることももちろん素晴らしいんだけど、でもその中心にはいつも、ビビッドなキャラクターがいる。欠陥がある主人公が、アクションを起こして自分の力で世界を変えていくところが面白いと思います。力強さもあるけど、ユーモアもあって。それが年齢を問わず、人にアピールする部分なんじゃないのかな」

 映画では、世界的に有名なファンタジー小説『オズの魔法使い』を基調に、謎に包まれた魔法使い“オズ”誕生の物語が描かれる。見たことのないような不思議な景色と、見たことのないヒーロー。その迫力は、映像技術の進化した今だからこそ体験できるものだ。既に続編の制作も決まっているというが、彼自身は、オズというキャラクターの面白みをどんなところに感じているのだろうか。

「オズは最初はペテン師だったっていう設定なので、初めてペテン師の役を演じたんだけど、オズの国もオズ自身も、虚実が入り乱れていて、そこは演じながらすごくエキサイティングでした。僕自身にペテン師的な部分はあるかって? もちろんあるだろうね。だって僕も公的な自分と私的な自分は分けているし、俳優として、人を楽しませるために違う人になりきってパフォーマンスをするあたりは、一種のペテン師とも言えなくもない(笑い)」

週刊朝日 2013年3月15日号