鳩山首相は当然、怒りはしたものの、結局「徳之島案」を引っ込め、「辺野古移設」を承諾した。
日米合同委員会なるものが設置されていて、そこでの決定は首相権限を上回るということを鳩山首相は知らされ、米側が「移設先は辺野古」に決めていることがわかった。鳩山首相はそれに反発せずに認めてしまい、首相を辞任したのである。もしも反発したら、どんなことが起きていただろうか。
ともかく、日本政府は日米地位協定の下では、米軍側の同意なしには米軍基地を移設させることも、撤去させることもできないのだ。
私が安倍首相に「オバマ大統領が『米国は世界の警察ではない』と言っているのだから、普天間の海兵隊など、必要ならばグアムかハワイへ持っていけばよいのだ」と言うと、安倍首相もそのつもりのようであった。
ところがその後、外務省幹部が「米国防総省が強く反対していて難航している」との嘆きを漏らした。そして、安倍首相は辞任してしまった。菅内閣は一体、どう取り組むのだろうか。
※週刊朝日 2021年1月1-8日合併号
■田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数