「極端な例で言えば、ロッテ佐々木朗希は1軍に帯同していたが練習だけで、今年は2軍戦すら投げなかった。得るものは多かっただろうが、これなら育成契約でも良いという考え方もできる。そうすれば1軍戦で起用できる選手の選択肢が増える。条件面や印象度は大きく異なるが、それも時代に即した形とも言えるのではないか」(在京スポーツ新聞記者)

 とはいえ、保有する選手に上限のない育成枠がこのように使われることが増えれば、当然資金力が豊富な球団がより多くの選手を抱えることが可能となる。実際に千賀や甲斐を主力にまで育て上げたソフトバンクは、育成枠の選手を多く獲得して成功を収めている。2軍、3軍の設備整備なども含め、お金=強さがより顕著になってしまう恐れがある。

 さらに、育成選手はFAで獲得した人的補償の対象とはならない。そのため、人的補償により有望な若手が流出してしまうのを防ぐために、制度が利用されているとの指摘もある。

 いずれにせよ、育成選手制度が本来意図したものとは違う形で使われ始めているのは明白だ。これまで多くの選手にプレーする機会を与え、侍ジャパンに選出されるほどの選手を生み出したことからも大きな役割を果たしたのは間違いないが、完ぺきとは言えない部分もある。2005年から導入されたルールを見直し、是正する時が来ているのかもしれない。