平安高校時代から守備には定評のあった炭谷銀仁朗 (c)朝日新聞社
平安高校時代から守備には定評のあった炭谷銀仁朗 (c)朝日新聞社

 筆者は一年で平均して約300試合アマチュア野球を現場で見ているが、基本的にドラフト候補となる有望選手を追いかけていることもあって、プロ選手顔負けのプレーを目撃することも少なくない。そこで今回はそんな驚きのパフォーマンスを見せたアマチュア選手について、ここ数年レベルアップが目覚ましい高校球児に絞って振り返ってみたいと思う。なお対象は筆者がデータをとり始めた2001年以降にプレーした選手としている。今回は守備編だ。

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 守備はポジションごとに紹介したい。まず捕手で強く印象に残っているのが炭谷銀仁朗(平安→2005年高校生ドラフト西武1位)だ。そのプレーを見たのは3年夏の京都大会、花園戦。当時のプロフィールは180cm、85kgとなっているが見た目にも一人だけ体つきが違っていたのをよく覚えている。

 シートノックの時から投げるボールの軌道と勢いは圧倒的なものがあり、地肩の強さは今まで見てきた高校生の中でもナンバーワンだった。この時のイニング間のセカンド送球は最速1.83秒をマークしているが、これは当時から15年経った今でも高校生ではなかなか見ない数字だ。プロ入り後も1年目から開幕戦でスタメン出場を果たしているが、それも頷けるだけの能力を備えていたことは間違いない。

 捕手でもう一人外すことができないのが中村奨成(広陵→2017年広島ドラフト1位)だ。1年春の中国大会で見た時はまだまだ体が細く、セカンド送球も2.1秒台とそれほど目立つことはなかった。3年夏の広島大会初戦ではドラフト上位候補らしいプレーを見せていたが、やはり圧巻だったのは甲子園でのプレーだ。

 大会記録となる6本塁打を放ったバッティングが大きな話題となったが、守備でも抜群のプレーを披露。地肩の強さはもちろんだがフットワークの良さが抜群で、鋭い出足でバントを処理してセカンドでアウトにしたプレーは今でも強烈に印象に残っている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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