ここ数年、オフには必ず戦力外の話が出ていた。球界関係者の間でも同様であり、右ひじの状態が悪いことも周知の事実であった。しかも今回、右ひじ靱帯断裂の重傷だったことが公表された。日本ハムがもう1年の契約延長に踏み切ったことには驚きの声も上がる。

「球速はそこまであるタイプではなかったが、ここ2~3年でガクッと落ちた。年齢的なものもあるだろうが、極端だった。靭帯断裂となると、手術の有無を抜きにしても回復に時間がかかる。それでも契約を結んだということは、復帰へ向けて可能性はあるのだろう」(在京球団編成担当)

 今季は右ひじ痛に悩まされたが、故障との戦いはプロ入り当時から続いている。今回の右ひじ靱帯断裂も、プロ2年目の右肩関節唇損傷が影響しているのでは、という声もある。これはソフトバンクの大エースだった斉藤和巳も引退の引き金になったもの。腕と胴体のつなぎ目の関節部分(関節唇)が剥がれ、肩の安定性が失われる。そうなることで投球時に肩の違和感などを感じるようになる。

「右肩をかばって来た影響があるかもしれない。投球は人間の通常動作に反する動きを伴い負担が大きい。関節唇が剥がれると腕のスムーズな動きができない。身体の他部分により無理を強いることにもなる。長年の蓄積が右ひじに大きなストレスを与えていたことも考えられる。本人も相当な違和感や痛みを感じていたのではないか」(元在京球団トレーナー)

「コロナというのはもちろんありますけど、僕自身はひじの状態も最終的によくなく、最後は投げることすらできなかった。毎年のことですけど、悔しい気持ちですね。結果を出すことを一番に考えているので、まずはひじを治すことを最優先に考えていきたい。痛みは、あった時とない時と。今回のことで、またいろいろと自分なりにも勉強したんですけど、いわゆる靱帯が切れていても投げられる選手はいるみたいで、その一例だと思うんですけども」(斎藤)

 契約更新時にひじの状態について聞かれ、表情を曇らせながら説明した。しかしシーズン後に受けたPRP(自己多血小板血しょう注入)療法の経過が良好で、現在は痛みなどはない状態。手応えを感じつつあるのか、冒頭インタビューのように、本人も明るさを取り戻しつつある。

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日本ハムが期待するものは?