ダイエットの効率を上げるには、冷えの解消が重要だ。入浴や食事など生活習慣をどう見直せば、痩せやすくなるのか。AERA 2021年1月18日号は、東洋医学の専門家に聞いた。
【生姜、唐辛子と合わせると効果的 体を温める冬が旬の食材は??】
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痩せやすい体をつくるには“冷えの解消”だ。
「バターを思い浮かべてください。冷蔵庫に入れておくと固まったままですが、温めれば溶け出す。ダイエットも、同じように考えた方がいいでしょう。体が冷えた状態では、脂肪も燃焼しません」
分かりやすい例えを出してくれたのは、東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門の川嶋朗さん(医学博士)だ。
川嶋さんは東洋医学的な診療を行い、必ず手で脈やおなか、背中、手足などに触れる「切診」をする。頻繁に感じるのが、体中が冷たい、低体温の女性が増えた、ということだという。
「60年ほど前の調査では、日本人の平均体温は約36度9分で、平熱37度以上の人が4割以上を占めていたそうです。今は36度を切っている人も多いのではないでしょうか」(川嶋さん)
現代生活は、「普通」にしているだけで体を冷やすようにできている。移動は電車やバス、車、洗濯は洗濯機、掃除はロボット掃除機。デスクワークが中心の人も多く、体を動かさないから筋肉量とともに基礎代謝が落ちて熱を産生できない。冷蔵庫を開ければいつでも冷たい飲み物や食材を取り出せる。
「だから私は、意識的に体を動かすことを勧めています。駅やスーパー、マンションなどの階段は無料のスポーツジム。エレベーターやエスカレーターを使わずに、自分の足で上りましょう」(同)
■洗濯干しでスクワット
電車の中では座らない。車内で転ばないように立つだけで、体幹が鍛えられる。自宅では、掃除機を使わず雑巾掛けをする。食器洗いはつま先立ちで。洗濯物を干すときは、絶好の“トレーニングタイム”だ。1枚干すたびにスクワットをしよう。全身の中で下半身に最も筋肉が集まっているので、それらを鍛えられるスクワットを毎日行えば、筋肉量を効率よく増やせ、熱産生を高められる。
「自分にとって、少しだけきつくて嫌なことをする。息が切れるような運動は必要ありません」(同)