しかしながら二人とも着実にキャリアを重ねている。一風さんのプロフィールに「市民後見人芸人」「マイナンバー制度芸人」とあった。いったいどんな芸人? いろんな講演もしてるみたい。寄席でもウケている。たまに「地獄」みたいなこともあるが、一風・千風はいつまでも初々しくニコニコしてるのが持ち味だ。

 年明け、久々に会った一風・千風の様子がおかしい。アレ? なんか変。千風さんが……別人のように痩せていた。「はい……ステイホーム中に普通に家に居たら、30キロ痩せていました」とニコニコ顔の110キロあった(ウィキ調べ)千風さん。「数カ月ぶりに会ったら、私も誰だかわかりませんでした」とニコニコしてる相方。どっちがどっちだかわからない。こんな短期間で見た目が完全に入れ替わってしまって大丈夫か?

 ニコニコと寄席芸人の道をゆく一風・千風。M-1なんぞには興味ないのかと思って検索をかけてみると、ほぼ毎年予選に出てました。結果は……おーい、ガンバレ一風・千風。ちなみに千風さんはいまだに親からお年玉をもらってるらしい。これもウィキ情報だけどイメージ通りで完璧だ。痩せてブカブカになった衣装も買い替えてもらいなさい。とにかく2021年は一風・千風の年になる……かどうかはわからないけど、今日も一風・千風は高座でニコニコしてる……はずですよ。

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。YouTube 「春風亭一之輔チャンネル」ぜひご覧ください! アーカイブもいろいろあります

週刊朝日  2021年1月29日号

著者プロフィールを見る
春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

春風亭一之輔の記事一覧はこちら