オオスズメバチ前蛹(ぜんよう)の蒸し物とカイコ蛹(さなぎ)の素揚げうまみのある中身がクニュッと出てくる食感が新鮮。添えられた梅肉ソースがよく合う(撮影/写真部・馬場岳人)
オオスズメバチ前蛹(ぜんよう)の蒸し物とカイコ蛹(さなぎ)の素揚げ
うまみのある中身がクニュッと出てくる食感が新鮮。添えられた梅肉ソースがよく合う(撮影/写真部・馬場岳人)
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 ひそかなブームになりつつある昆虫食。食材として大きな可能性を秘めた昆虫で、初代“和の鉄人”道場六三郎さんが調理した。

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 虫嫌いの人でも食べたくなるような昆虫料理をつくってほしい、という無理なお願いを、道場さんは、あふれる好奇心で受けてくれた。「初めて出会う食感だね」。次々と昆虫を味見しながら調理する。でき上がったのは「オオスズメバチの前蛹(ぜんよう)の蒸し物とカイコ蛹(さなぎ)の素揚げ」「カイコの卵ふりかけ ハマしんじょ」「レモンシャーベットのアブラゼミ・パルメザンチップ添え」など6品だ。

 現代の日本では、すっかりマイナーでゲテモノ扱いとなっている昆虫だが、かつて人類が地上に出現したときから食べられていたともいわれている。一昔前でもイナゴあたりは佃煮にして普通に食べられていた。しかし、昆虫食が過去の話だと思ったら大間違いだ。

 昆虫食研究の第一人者で『昆虫食文化事典』などの著書がある三橋淳さんは、昆虫が食糧危機を解決する鍵になり得るという。

「地球の人口は、2050年には90億人以上になるといわれています。家畜・家禽や魚介類だけではまかないきれない動物性たんぱく質を、昆虫が補うことになる可能性は大きい。発育が非常に早くてたんぱく質の生産効率が高い。しかも、飼料が人間の食べ物とかぶらずに、早く大量に育てることが可能だからです」

週刊朝日 2013年4月12日号