ウユニ塩湖周辺にある、雪を頂く山。塩湖の広さは四国の半分ほどもあるが、高低差が50cmしかなく、雨期になると薄く水が張って一面が鏡のようになる。水深3cm前後が最も風の影響を受けにくく、きれいな鏡張りになるという。

 10年間で6回、ウユニ塩湖に足を運んだ高砂さんにとって、ショックだったのは、塩湖周辺でレアメタルが見つかり、リチウムを採掘するプラントができたことだった。

「最初のころは、夜になると湖面に映る星も本当によく見えたんです。それが、最近ではプラントの明かりによって、夜も真っ暗ではなくなってしまって。あとは、人が増えたことで、プラスチックゴミがすごく増えてしまったことですね」

 いまだ発展途上のウユニの町には焼却炉がなく、集積場にゴミを集めてあるだけのため、風で飛ばされ、塩湖に落ちてしまうのだそう。「観光地化が進むと、こうした残念な面も出てくる。でも、こんなに美しい場所は、やっぱり守りたいですよね」。

 私たち人間は、多くのものを自然からもらって生きている。いわば、親のような存在だ。だから、大地も地球も、いろいろな生き物も、ひとつの命として尊重してつきあっていくように変わっていったほうがいい。「『足るを知る』がないと、地球がいくつあっても足りなくなっちゃう」と、高砂さんは考えている。

「写真を見て、ただ、きれいだね、っていうところから入っていただいてもいい。美しいと感じるのは、守らないといけないものが心の奥でなんとなくわかっているからだと思うんですよね。そこから、この光景を、自然を、大事にしたいという気持ちが、少しでも芽生えてくれたらいいなと思います」

南アフリカ沖では例年6月頃、10億匹ほどのイワシが南極から北上する「サーディンラン」が見られ、イルカやクジラ、サメ、海鳥などが集まる。写真は、波乗りをしていた遊び好きのイルカ。波が崩れる寸前に飛び出てきたところを、波の裏側から捉えた一枚。

(本誌・伏見美雪)

週刊朝日  2023年2月10日号に加筆

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