高校時代に抱いていた「宇宙」への夢を40歳にしてかなえた人がいる。それがアストロスケール創業者兼CEOの岡田光信さん。その仕事内容は、スペースデブリ(宇宙ゴミ)を除去する、というもの。どんな仕事なのか、少年時代はどんな子だったのか? 「AERA with Kids2020年冬号」で花まる学習会の高濱正伸さんが岡田さんにインタビューをした。

*  *  *

高濱 まずは事業内容を説明してくれますか。世界で初めての素晴らしい仕事について。

岡田 スペースデブリ、いわゆる宇宙ゴミは、今とても大きな問題になっています。宇宙ゴミは大きく3種類あって、一つは耐用年数が過ぎた古い人工衛星、二つめは衛星の打ち上げの際切り離されるロケットの上段、三つめはそれらの爆発や衝突で生じる破片などです。これらは大気圏に落ちて燃え尽きるものも多いけれど、それ以外のものは置き去りにされたまま地球の衛星軌道をものすごい速さで今も周っているんです。

高濱 どのくらいのスピードですか。

岡田 秒速7~8キロ、弾丸の10倍以上のスピードです。しかも回転しながら別々の軌道を好き勝手に回っているから始末が悪い。これは人類が宇宙を目指してロケットを打ち上げるようになってからずっと続いています。今ではその数は大きなものだけでも2万5千個、10cm以下のものだと1億3千個近くあるといわれています。

高濱 衛星軌道上には、たくさんの人工衛星や、宇宙船、国際宇宙ステーションなどがあるわけだから、そこに衝突すると大変なことになる。

岡田 そうです。今や地球の生活は人工衛星なしでは成り立ちません。気象予報、災害対策、GPS情報、衛星放送、通信、農業や漁業……ある日突然、衛星にデブリが衝突したらとんでもないことになるんです。

高濱 地球環境の問題はずいぶん前から言われているけど、宇宙環境のほうもとんでもないことになっていたと。

岡田 これまでに微細な衝突はもちろんのこと、おそろしいニアミスも起きています。スペースデブリ問題は30年以上前から課題となっているのに、今まで誰も解決しようとしなかったんです。宇宙はこのままでは持続可能な世界じゃない、今日明日にでも使えなくなるかもしれないリスクに満ちています。だから私は、デブリが少しでも大きいうちに、少しでも早く除去したいと。大きいものは、バスくらいあるんですよ。

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