移籍が噂されながら鹿島に残留したエヴェラウド (c)朝日新聞社
移籍が噂されながら鹿島に残留したエヴェラウド (c)朝日新聞社
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 2021年のJ1リーグも「川崎のシーズン」になるのだろうか……。

 先日のゼロックス杯で昨季リーグ戦と天皇杯の2冠を達成した川崎が3対2でG大阪に勝利。改めて王者の強さと風格を示した形となった。当然、2月26日に開幕する新シーズンの優勝候補筆頭は、川崎だ。

 だが、そのゼロックス杯で一時的にでも2点差を追いついた昨季2位のG大阪、さらに同3位の名古屋もACLでの戦いも踏まえて今オフに大型補強を敢行して戦力アップに成功。皮算用ではあるが、チームの戦力値は確実に縮まっており、高い完成度を誇る川崎も昨季同様の“独走”は難しくなる。そして、この“打倒・川崎”を掲げるのはG大阪と名古屋だけではない。

 前評判が高いのが、昨季5位の鹿島だ。懸念された外国人の流出もなく、主力はほぼ残留。昨季18得点のエヴェラウドと同10得点を記録した上田綺世の2トップは強力で、開幕直前のトレーニングマッチでも揃って得点して順調な仕上がりぶりを見せている。その他の日本人選手も昨季の経験を糧に成長中で、新型コロナの影響で来日が遅れているピトゥカ、カイキの2人の新たなブラジル人MFも必ずチームの戦力となるはず。昨季は開幕4連敗から7月までの7試合を1勝1分け5敗という“どん底スタート”だったが、ザーゴ体制2年目の今季は同じ轍は踏まないだろう。

 その上で重要になるのが、川崎との直接対決だ。昨季の鹿島の対川崎戦は1分け1敗だったが、「1敗」はリーグ再開初戦だった7月4日の対戦(●1-2)で、まだチームとしての仕上り前というエクスキューズあり。そして11月14日の対戦(△1-1)ではほぼ互角の展開でアグレッシブな戦いを繰り広げ、シュート数(鹿島18本、川崎17本)、ボール支配率(鹿島52.1%、川崎47.9%)ともに、わずかではあるが上回った。今季の川崎戦は5月30日の第17節(等々力)と10月16日の第32節(カシマ)に組まれている。どのような順位、立場で川崎戦を迎えることができるか。ACLの負担がないことも鹿島にとっては大きなプラスであり、G大阪、名古屋以上に“打倒・川崎”の一番手と言っていい。

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