認知症は、アルツハイマー型、脳血管性、レビー小体型の三つに大別される。「軽度認知障害」(MCI)と認定されても、努力次第で後戻りできるという。どんな努力が必要かというと生活習慣の見直しだ。希望は、ある。たとえば、食事が偏りがちな人はどのように改善すればいいのだろうか。

「朝食」を抜く人はボケやすいとされる。近年「1日1食」で健康を維持しようというブームが起きたが、朝食を食べないとインスリン(膵臓から分泌されるホルモン)が出にくくなり、血糖値が上がり、肥満や糖尿病を招きやすい。

 順天堂大大学院・白澤卓二教授は、ボケを防ぐには3食きちんと食べることを推奨している。

「規則的に3食きちんと取れば、血糖値は安定します。寝ている間でも、基礎代謝によって体力は消耗するので、脳は毎朝、栄養不足になっています。朝食で栄養を補い、脳の萎縮を防ぐのです」

 もちろん野菜は欠かせない。生ジュースを週3回以上飲んでいる人は週1回も飲まない人に比べて、アルツハイマー病の発症率が76%も低いとのデータも発表されている。「野菜や果物に含まれるポリフェノールが、脳の萎縮につながる『βアミロイド』の働きを抑えると考えられています。葉や皮や茎を丸ごとミキサーに入れてしまえば、植物繊維もたっぷり摂れます」。

 植物繊維はおなかの調子を良くするだけでなく、高血圧を防いだりコレステロールの上昇を抑えたりもする。白澤教授がすすめる、野菜ジュースの素材の組み合わせは(1)ホウレン草+りんご+水(2)アボカド+しそ+オリゴ糖+水(3)青梗菜+プルーン+りんご+豆乳など。果物の薄皮はむかず、作り置きもしないことがポイントだ。

 EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などの成分を含む青魚もいい。鮭は抗酸化作用が強い「アスタキサンチン」のほか、骨を丈夫にするビタミンDも豊富で、骨粗鬆症対策になる。ビタミンDはキノコ類にも多く含まれている。

 魚や野菜の調理の仕方は、和風ばかりでなく、消化吸収に良いビタミンが多いオリーブオイルを使うのも手だと助言する。

「オリーブオイルを多用する地中海料理は、認知症に効くとのデータが出ています。ご飯を主食にする人は、白米よりも玄米や雑穀米にして。米ぬかに含まれるフェルラ酸(ポリフェノールの一種)がボケや糖尿病を防ぐので、3回に1回はぜひ玄米食に!」

 骨を強くする上では、カルシウムや乳製品が欠かせない。ヨーグルトや牛乳などを定期的に摂っている人は、介護の対象になりにくい、と白澤教授は言う。

 肉を食べることがボケを防ぐというデータはないが、筋肉の維持には肉からもたんぱく質を摂るべきだろう。夕飯は日替わりで肉と魚を交互にするといい。

 カレーの成分ウコンに含まれる「クルクミン」も、認知症の予防効果が高い。ちなみにインド人の発症率は、米国人の4分の1だという。シーフードカレーなら魚とウコンで一石二鳥だ。白澤教授の裏技は、カレーにきな粉を入れること。レシチンの効果でクルクミンがよく吸収されるという。

週刊朝日 2013年5月3・10日合併号