妻自身がジェンダー意識を内面化し、良き妻・母でありたいとの思いから、家事育児を夫に任せないということもある。
都内在住の会社員男性(36)は朝食づくりや夕食後の洗い物、洗濯を担当。週末には率先して外で子どもを遊ばせる。
「でも、妻は僕が子どもを遊ばせているのを見かけたと近所の人に言われると、まるで自分が何もしない妻と思われるのでは、と不安みたいです。食事もデリバリーなどをもっと使ってもいいよと言っても『自分で作りたい』と言って譲りません。女がやらなければという義務感みたいなものがあるようです」
小学生、中学生の2人の娘がいる名古屋市に住む勤務社労士の女性(45)は、大手企業に勤める夫の方が家事が得意だという。例えば夕食も、女性が担当するときは手軽に作れる丼ものが多いが、夫は平日でも栄養バランスを考えて3品作る。
「彼を見ていると、自分の家事スペックの低さに罪悪感を抱くこともあります。これって、女性の方が家事はうまくて当たり前というバイアスがあるからですよね」
(編集部・深澤友紀、フリーランス記者・宮本さおり)
※AERA 2021年3月15日号より抜粋