日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「国際女性デーに考える日本の女性格差」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
【写真】国際女性デーにあわせたフラワーデモ。思い思いのメッセージを掲げた
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3月8日は「国際女性デー」でした。「国際女性デー」とは、女性の権利や政治的・経済的分野への参加など、女性が達成してきた成果を認識する記念日で、1975年に国連によって「国際婦人デー」と定められ、現在「国際女性デー(International Women’s Day)」と呼ばれています。
きっかけは、1904年3月8日、ニューヨークで女性の労働者による参政権を求めるデモが行われたことに始まります。さらに6年後(1910年)にデンマークで行なわれた国際社会主義者会議で「女性の政治的自由と平等のためにたたかう記念の日」として正式に制定されたことから「国際女性デー」が始まったと言われています。
今年はコロナ禍ではありましたが、シリアやフランスなど世界各地で女性の権利向上を求めて集会が行われたようです。
「国際女性デー」は「ミモザの日」とも呼ばれています。3月になるとイタリアでは街中に黄色の花を咲かせるミモザですが、イタリアではもともと、感謝の気持ちを込めてミモザの花束を贈る習慣があったそうです。イタリア女性組合のシンボルとして3月頃に花を咲かせるミモザが選ばれ、またミモザの花束を贈る習慣が世界に広がったことで、ミモザが「国際女性デー」を象徴するようになったというわけなのです。
2019年12月、世界各国における男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数2020(Global Gender Gap Report 2020)」が世界経済フォーラム(World Economic Forum)より発表されました。調査されたのは153カ国であり、調査国全体で見ると政治や経済における格差が大きく、新興国と発展途上国では男女格差が悪化する傾向にあったが、2018年時点で世界における男女格差が完全に解消されるまでに108年もかかると推定されていた期間が、99.5年に縮小したといいます。