■マニュアル化の効果大
候補者側は、自分の目指す人物像、働きたい環境、企業選びの基準などをあらかじめ言語化しておくと対面以上にストレートに伝わる可能性が大きい。より具体的に伝わるよう表現を工夫し、紙に書き出しておくことも有効だ。
一方、採用する側も面接の質問内容や評価方法をあらかじめ決めておくこと、つまりマニュアル化が重要だ。どの候補者に対しても、必ず準備した質問リストの中から質問を選び、事前に決めた評価基準で評価を下す。質問は、欲しい人材の要件をできるだけ具体的に定めた上で設計するのがポイントだ。例えば、苦手なものにも向き合える人材を求めているのであれば、「最近困った出来事」「苦手を克服した事例」「自分の不得意な仕事に直面したらどうするか」といった質問リストを作った上で面接を進める。
「これまで日本の採用現場では、面接担当者が『この人と一緒に長く働きたい』と思ったら採用する雑談ベースの『非構造化面接』が一般的だったので、最初は抵抗があるかもしれません。構造化面接は対面だと、候補者側に『テストされている感』が出るので企業に対する好感度が下がるリスクもあります。ただオンラインでは逆に好感度が上がる。会話のキャッチボールが難しいので、マニュアルに沿って聞いてもらったほうが、しっかりと話を聞いてもらえた、能力が発揮できたという満足感が持てます」
今後は、対面の面接も徐々に復活しそうだが、伊達さんはこう強調する。
「単に対面に戻れば良しとするのではなく、対面もオンラインも一長一短であることを再認識し、採用のあり方自体を根本から見直すチャンスにしてほしい」
(編集部・石臥薫子)
※AERA 2021年3月22日号より抜粋