斬新な発想を武器に、我が道を行く。そんな“テレ東らしさ”を体現してきたプロデューサー・佐久間宣行さんが3月末日をもって同局を退社。AERA 2021年4月12日号で現在の胸中を語った。
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――<テレ東名物P佐久間氏 3月退社>
3月1日、「ゴッドタン」や「あちこちオードリー」など、テレビ東京の人気番組を手掛ける名物プロデューサー・佐久間宣行(45)の退社が報じられた。ヤフートピックスにも取り上げられたそのニュースは、瞬く間にSNS上を駆け巡った。
いや、あれはちょっと信じられなかったです。ただサラリーマンが会社を辞めるってだけの話ですからね(笑)。
■出世で現場が遠くなる
辞めることを決断した理由は二つあります。ここ数年、外部からお仕事のオファーをたくさんいただくようになったんですが、テレビ東京には「自社の番組に直結しないコンテンツは作ってはいけない」というルールがあり、お断りした案件がたくさんあったんですね。もちろん、ダメという会社の言い分も理解できるので、ではどうしていこうか?と1年ほど前から会社と話し合ってきました。
もう一つは、ちょうど管理職になるタイミングだったこと。会社のラインに乗って出世すると、当然ながら自分のことだけに時間を使えなくなります。部下の番組のクオリティーやコンプライアンスをチェックする仕事に追われ、収録現場に行くことさえできなくなってしまう。
それで自分のなかで出した結論が「フリーの立場で、今後も担当番組の演出をやらせてもらいたい」というものでした。会社組織から出て行く人間がそのまま番組を継続することが周りにどう影響するのか心配だったんですが、会長からも「佐久間が続けて担当したほうがテレビ東京にメリットあるしね」と言っていただけて。すごくありがたかったですね。
――佐久間は2年前、会社員でありながらラジオ番組「オールナイトニッポン0」のパーソナリティーに抜擢され、現在も毎週水曜深夜にレギュラー出演中だ。他の曜日にファーストサマーウイカやCreepy Nutsといった旬の面々が居並ぶなか、まったく引けを取らないほど絶大な支持を集めている。今年1月に開催された配信イベントの視聴チケットは、1万7千枚以上の売り上げを記録。佐久間の活動はすでにテレビマンの枠に収まるものではなくなっていた。