日本の「伝統」や「古典」といった皇室への相応しさを感じさせるキーワードと共に近況を報じられる愛子さまに、昔ながらの皇室支持層は安心感を覚えるのだろう。天皇家と愛子さまへの保守層の期待値は、高まっている。
そこに流れたのが、「旧皇族が並ぶお相手リスト」の話しだ。
実は、内親王のお相手に旧皇族を――という発想は、過去にいく度も浮かんでは消えている。
2012年、野田内閣が「女性宮家」創設を検討したときも、そうだった。
女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」案。現在の皇室典範では、女性皇族は、結婚すれば皇籍を離脱する。当時の羽毛田信吾宮内庁長官は、歴代の首相に対して、将来、悠仁さまが天皇に即位した時に女性皇族が次々に結婚して皇室を離脱して宮家が消滅している恐れがあると、皇室の危機をうったえ続けていた。このとき、眞子さまはすでに20歳、佳子さまも18歳。羽毛田長官は、「眞子さまが結婚して皇室を離れてからでは、佳子さまと姉妹で扱いが違うことになる」と猶予はない、と伝えた。
だが、男系の皇統維持を主張する保守派の反対論が立ちふさがった。
「女性宮家の存在は、いずれ女系天皇につながる」
このように懸念する声は根強く、最終的に「女性宮家」案は立ち消えになったが、会議のなかで折衷案として出たのが先に触れた、女性皇族と旧皇族の結婚案だ。
このとき皇室制度を研究する小田部雄次・静岡福祉大学名誉教授は、ヒアリングの対象者として官邸に呼ばれていた。小田部さん自身は、女性宮家創設に賛成した。女性・女系天皇についても容認派。旧皇族の復帰は、現実的ではないと考えている。
小田部さんは、ヒアリングの場で、こんな質問を投げかけられた。
「内親王のお相手に、旧皇族はどう思うか」
想定していなかった質問に、すこし戸惑いながらもこう答えた。
「男系だ、女系だという騒ぎがおさまるならば、それもひとつの案かもしれません。しかし、ご本人同士が好きでもないのであれば、やってはいけないと思う」