ウィシュマさんは同居していた男性から激しいDVを受けていた。お金をとられ、生活が困難になり、ビザの更新手続きもできない状況になった。昨年8月に助けを求めて訪ねた交番で、シェルターに保護されるのではなく不法滞在者として拘束された。今年1月から名古屋入管内で体調を崩し、体重は20キロ落ち、吐血し嘔吐し、歩けないほどまで衰弱した。支援者によれば、医師の診察で点滴や入院をすすめられたが、点滴や入院の措置はとられなかったという。医師の診察も胃カメラをのまされただけで、点滴は「入院になってしまう」「時間がかかる」との理由で、入管の職員が強引に連れ帰ったと、葬儀でスピーチにたった支援者が話してくれた。DV被害者には仮放免するルールもあったにもかかわらず、仮放免の申請は却下され、ぐったりした状態で適切な治療も受けられず放置されていた。

 入管内には監視カメラが設置されている。何が起きたのかどのような対応をしたのか、なぜ33歳の女性が亡くなったのか。遺族はカメラの映像を見せるよう求めているが、入管は頑なに拒否している。点滴を受けさせなかったのも、その要望がウィシュマさん側からなかったからだと中間報告にはあるが、若い女性が短い間で死に至るまで、いったい入管職員は何をしていたのだろう。書けないこと、見せられないこと、言えないこと、隠蔽・改竄しなくては組織が守れない事実があったのではないかと疑うほうが自然なことではないだろうか。

 偲ぶ会では、ナイジェリア人の女性で、難民申請者などの人権活動をしているエリザベス・アルオリオ・オブエザさんがスピーチに立った。祖国で強いられる性器切除から逃れるため1991年に来日し、難民申請をしたが却下され、その後、エリザベスさん自身も、幾度か入管に収容され、今は仮放免状態で同じ立場にある人々の支援活動を行っている。仮放免の外国人は就労が許されず、県をまたいだ移動も許可がなければできない身だ。そのためエリザベスさんは名古屋入管に収容されていたウィシュマさんに会いたくても会えず、何度も何度も許可を得るための申請をしたが許されなかったと涙を流し、悔しさを全身で表現するように絶叫した。

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こんなこと、もうやめて!