「人員・質では警視庁が断トツだ。サイバーに強い京都府警からも相当数が招集されるだろう。ただ都道府県警の当該部署の人員が減ることになるし、期限付き出向となればモチベーションが低下する。従って永久出向という形を取らざるを得ないだろう」(警察関係者)

 サイバー直轄隊員の資格として、デジタルに強いだけではなく、専門語学、諸外国の機関の担当者と渡り合える胆力が必要だろう。警察組織内にそうした人材が果たしてどれほどいるのか。警察庁では全国から捜査員の選抜を急ピッチで進めているという。

 今回のサイバー局設置は警察庁の悲願でもあったが、省庁のポスト争いの側面も見え隠れする。

「これまでは内閣サイバーセキュリティセンターが政府のサイバー対策の司令塔とされてきたが、総務省と経産省が主導権を握っており、サイバーテロの実態解明や犯人特定より、早期復旧や経済活動への影響低減を重視してきた。だから警察庁の主張もないがしろにされてきた」(警察関係者)

 警察関係者によれば、菅義偉首相が官房長官に就任して以来、各省庁の組織の規律や局の増減も従来より緩やかになってきたという。

「首相トップダウンで決まったデジタル庁発足同様、サイバー局設置も政治主導による銘柄にして、官僚のグリップを握り続けるのが狙いなのだろう」(同前)

 悲願のサイバー局誕生で警察庁は「調整機関」から脱皮し存在感を高めるのは間違いなさそうだ。(野田太郎)