過度の疲労により、22日から小池百合子都知事の静養が続いている。公務代理で表舞台に立つようになったのが、多羅尾光睦(たらお・みつちか)副知事だ。都の事実上のナンバー2で、五輪組織委の副会長でもありながら、これまではあまり世間の目にさらされることもなかった。会見を見る限り、発信力で小池都知事に見劣りすることは否めないが、一体どんな人物なのか。
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「彼はイエスマンで、小池都政の象徴」と語るのが、元東京都選挙管理委員会事務局長の澤章氏。澤氏は昨年、自身が書いた告発本をめぐって多羅尾副知事に直々に、事実上の「クビ」を言い渡され、無職になってからはYouTubeチャンネル「都庁watchTV」で、都政の内情に迫る動画を投稿し続けている。多羅尾氏とは管理職として市場移転問題で関わり、クビの際には「(多羅尾氏と)小一時間の口論をした」という澤氏が、ナンバー2の謎に包まれた素性を語った。
――多羅尾副知事の人柄や仕事ぶりについてうかがいたいです。
いわゆる役人タイプの人。自分で即断即決して状況を切り開いていくというよりは、あくまでも調整役として、上の指示に従うタイプだと思います。役人としての能力やリーダーシップがなくても、目立たず失敗をせずやっているうちに、たまたま副知事になっちゃいましたという印象は否めません。
都庁職員は副知事のことを「V」と呼んでいます(Vice Governor=副知事の略)が、4人の副知事のうち、一番地位の高い「V1」が多羅尾さんです。他の副知事たちを見渡せば、梶原洋副知事のように、福祉保健局長時代に喫煙防止条例の成立に尽力した実績を持つ方や、武市敬副知事のように、財務局長時代に都財政の健全な運営に寄与していたなど、分かりやすい実績があります。しかし多羅尾さんには、局長時代や部長時代に難局を乗り越えた経験や、新たな制度を自ら発案して作り上げたという実績は、あまりないように思います。