――多羅尾副知事は、五輪組織委の副会長も兼務されています。組織委での影響力は。
セレモニーや除幕式の時に横に立っていたりしますが、特段、東京都の代表者としてそういった場で何か発言をするというのは、恐らくないと思います。組織委の中には都の職員がガンガン入っていますから、会議の場で都の意向を初めて伝えなければいけないというシチュエーションはないと思います。具体的なことは他の実働部隊が決めているはずです。
――都知事不在の現在の状況について
小池都政では、結局小池さんがすべてを決めてきた。大きな組織にある程度委ねるといったことはほとんどないので、小池さんがいなければ、何も決められない状況が続いているはずです。小池さんのワンマン体制でこの5年間ずっとやってきたわけなので、その行動パターンはおいそれとは変わらないと思います。小池さんは静養しても、「多羅尾さんの好きなようにして」とは絶対言わないタイプ。これは推測ですが、多羅尾さんは今も、病室の小池さんとかなり頻繁に連絡を取り合っているのだと思いますよ。小池さんの指示を待って、最低限対策は打っていくのではないでしょうか。そうでないと、動かないと思いますよ。
ただ、それだとどうしてもタイムラグが生じてしまいます。コロナに関していえば、時々刻々状況が変化しているので、時には即断即決や臨機応変さも必要。今はコロナの感染者数がリバウンドしかかっている状況なので、長引けば、都政が停滞していく懸念があります。
現在の都庁はまさにワンマン社長の企業のようで、社長が元気な時は会社はうまくいっているけれど、倒れたら機能不全に陥る。これまでの小池都政の問題点が露呈した形なのではないでしょうか。
――仕事をする中で、多羅尾さんの人柄や仕事ぶりを垣間見た場面はありましたか。
2016年、築地市場の移転問題の際、私は都中央卸売市場の次長を務めていたのですが、総務局長時代の多羅尾さんと関わってきました。市場移転問題において、総務局はどのような立ち位置かというと、政策を練る際に外部から特別顧問を招聘して、いわば「おもり」をする役割です。