「糖尿病学会の専門医がGLP-1受容体作動薬を痩身目的で処方していることが分かった場合、専門医の更新を認めない可能性も含め警告をしています。そのため、少なくとも専門医が推奨するということはないと思いますが、学会にも医師会にも所属していない医師が適用外処方をおこなっている場合、管理することは難しいのが現状です」
GLP-1を糖尿病治療薬以外の目的で処方するのは、多くの美容医療と同様に自由診療となる。薬の価格などは全て医療機関側で決めることができるため、施設によっては、高額な治療費を請求されたり、解約に応じないなどのトラブルに発展したりする可能性がある。
消費者トラブルについて、国民生活センターからも昨年9月に注意喚起が出されている。GLP-1を自己注射させるケースでの相談が近年増加しているという。全国の消費生活センターには「不安に思い解約を申し出たができないと言われた」などの相談が寄せられているほか、以下のようなトラブルも紹介されている。
「インターネット検索で、オンライン診療で痩身治療を行うクリニックを見つけた。『食事制限や運動は不要』という広告に興味を持った。(中略)アドバイザーから『薬剤を自身に投与する治療だ。薬剤はまれに副作用が出るが、数日で落ち着く』などと言われ、併せてコースや料金、自己注射の方法を説明された。その後、医師に代わったが診察はなく、治療を受けるかどうか聞かれただけだった。指定された銀行口座に治療費50万円を振り込み、数日後クリニックから注射器、サプリメント等が届いた。別の日に海外から原則冷蔵保存されるはずの薬剤が常温で届いた。自分で薬剤を注射してみたが吐き気など副作用が出てつらかった。クリニックに相談したが、アドバイザーから薬剤の量の指示を受けるばかりで医師の対応はなかった。痩身の効果も感じられないので解約、返金してほしい」(30代女性、国民生活センター報道発表資料から一部抜粋)